編集後記 |
単純にロリペドなポルノでも描こうかという企画から、 いざストーリーラインを組んでみると、意外に真面目な話になってしまい、 いつの間にか長編小説になっていた、というのが本作です。 はじめはこの話、漫画での表現を考えていたのですが、 完成品のページ数を想像したところ、 おそらくコミックス1冊分は超えるであろうという長い内容だったので、 ひとまず漫画版はあきらめ、小説という形での公開となりました。 元ネタはあの有名なMMORPG、ラグナロクオンラインです。 北欧神話を題材にした剣と魔法のファンタジー。 町から一歩離れると、凶悪なモンスターたちが徘徊し、 人々はそれらモンスターとの戦いを生活の中心としています。 こういった世界観が好きな方と、そうでない方がいらっしゃるとは思いますが、 せいいっぱい一般の方でも読みやすく分かりやすいよう、工夫して描いてみたつもりです。 技のいたらぬ所はあったかもしれませんが、気に入っていただけたら幸いです。
執筆は私自身気楽に、楽しくすすめさせていただきました。 もともとファンタジー好きだったというせいもありますが、 「2次創作だから」という理由で、敢えて肩の抜いたことが 今思うとかえってプラスになったのかもしれません。 苦労したところは、1章〜5章まではだんだん話が良い方向に向かっていくところなので スラスラと1日1章ペースで描き進んでいくことができました。 ところが、6章、7章のレオンとユミィがこじれるシーンになると、 激しく執筆を滞ることになります。 それというのも、8章「ユミィの家出」につながるところで 「果たしてレオンの浮気ごときで、ユミィはそこまで傷つくだろうか?」という疑念が 私の心に立ち込めてしまったからです。 私は話を一度変え、レオンはアリアと酒を飲みにいっただけ、と変更しました。 酒をのみにいったレオンとアリアですが、 今度はアリアが、レオンの古馴染みの仲間達を連れてきてしまいます。 そこで、再び意気投合したレオンと仲間達は、戦の後、酒を交わしたり、 新兵に剣の扱い方を教えるようになり、 レオンはいつしか新しい心の居場所を見つけてしまいます。 こうしてレオンとユミィの間には、いつしか大さな心の溝ができ、 2人はやがて一緒に暮らしながら、疎遠になってゆく…。 そして、自分の存在意義を見失ったユミィはある日突然家出する…。 というシナリオです。 これならアリアもそれほど悪役にはならなかっただろうし、 レオンはレオンでそれほどヘタレ主人公にはならなかったかもしれません。 しかし複雑な人間ドラマを描かなければならない上に 消化するエピソードが膨大で、実行するには、 章をさらにひとつ増やす必要ができてしまいます。 話も大きく脱線するし、さすがにそれは面倒かなー…と。 仕方なく私はレオンの浮気を再執筆し、ロングエピソードが「なかったことになっている」 パラレル・ワールドを描くハメに…。これがけっこう大変です。 なにせ、頭の中に架空の出来事が2通りおきるわけなので。 キャラの心理に自分の心をリンクさせて描いていくわけですから、大変混乱します。 描いても描いてもなんだかスッキリしないし、細かな矛盾も出てくるし…。 そんなこんなで約半年、路線変更などせずにスマートに描いていれば、 下手すりゃ1ヶ月で描きあがったかもしれません。
「ホムンクルスは、主人からの愛情をもらえなくなると、消えてしまう」 いちおー合ってます。ゲーム内のホムンクルスには「親密度」というパラメーターが 存在し、その値がゼロになるとホムンクルスは消滅し、2度と元に戻らなくなります。 ただし、ゲーム内のホムはエサをやることにより新密度がアップし、 エサをやらないことでのみ親密度がダウンします。 あとは殴られようが蹴られようが、ぶっ殺そうがペナルティはありません。 ほとんどのプレイヤーはポーション代をケチって、ホムをわざと死なせます。 ホムを死なせて生き返らせた場合、体力はノーペナルティでMAXまで回復しています。 それどころかわざとホムをモンスターの群れに突っ込ませ、 囮として使うプレイヤーすら存在します。 「BOSS狩りをすると、国王から報奨金が出る」 ビタ一文出ません。ネットゲームでのBOSSキャラクターというのは パーティーメンバー同士で腕試しをしに行くためのオマケみたいなものなので、 基本的にはBOSSを倒しても、ガラクタしか手に入りません。 たとえばオークヒーローならば「オーク勇者の証(通称:豚バッヂ)」だったり。 そこらへんは、辻褄が合うよう多少の修正を入れました。 「ホムンクルスが青ポーションを作る」 作ってくれるわけがありません。 やってくれるのは、主人についてまわることと、 戦闘に参加してくれることだけです。 ちなみに人語も喋れません。 夜の相手もしてくれません。 「騎士からアルケミストに転職する」 できません。正確にはキャラを一度消して、 Lv1から同名のキャラを育てなおすことはできます。 余談ですが、web用に推敲をしていない元の設定資料のほうには、 「レオンは悲しみのあまり騎士のキャラクターを消し、 別サーバーにてアルケミストを作った」と書いてあります。 「消えかけのホムンクルスはこの世とあの世の狭間に存在する」 ここはオリジナル設定です。そもそも、ゲーム内では 「ホムンクルスはエサを与えないと逃げてしまいます!」 という警告メッセージしか出ません。 もちろん他人の生命を吸ったり、自身が体調不良になったりすることもありません。 「ホムンクルスにクロスボウやマインゴーシュを持たせる」 装備できません。ホムンクルスは素手でのみ戦いに参加します。 …とはいえ、少女が素手で大蜘蛛のモンスターを撲殺するという設定はあまりにもひどいので、 武器ぐらい装備できてもよいだろうと、修正をほどこしました。 「ホムンクルスに名前もつけない。その上すぐに使い捨てる」 ゲーム内ではごくごく普通のことです。 ゴダーニというキャラはそういったひどいプレイヤー達を象徴するかのような存在なわけですが…。 かくいう私も、11体近いホムンクルスを創っては闇に葬りました。 ホムンクルスを創る際には、エンブリオというアイテムを用いるわけですが、 そのエンブリオから4種類のホムのうちどれがでてくるのかはランダムなんです。 出てきたホムが気に入らなければ意図的に消去することもできるわけですが、 その時に出てくるメッセージがなかなかパンチの効いた内容で…。 「ホムンクルスを無に返します。 いままで育成してきたすべてが破棄されます。よろしいですか?」 どうやって無に返すんでしょうか…。((((゚д゚))) ひと思いに首をひねるのか、それとも口と鼻を手でふさいで…。 どちらにせよむごい話ですよね。
メインテーマは「愛のカタチ」です。 ここでそれを説明するのもどうかと思うんですが、 物語の要点は第5章でのユミィの言ったセリフ、 「私…レオンの赤ちゃんを、産めないんだよ。」あの一言に集約されています。 これを良とするか、否とするかは読み手の判断に委ねられるわけですが…。 私はどちらとも言い切れないですね。 レオンみたいな人がいたら応援してあげたいけど、 自分は真似できない。 …ハッキリとした答えじゃなくてすいません(笑)。 まぁ、世の中には、存在する人の数だけ異なる愛のカタチがあるわけで…。 その内のどれが正しいのかなんて事は、本人にしか定められない。 そんな日頃の疑問をみなさまに投げかけてみました。 あなたが今まで人と交わしてきた愛情は、正しい愛だったでしょうか? |