LEAF〜麦わら帽子のホムンクルス〜
レオンは27歳。 ルーンミッドガルド王国の首都プロンテラを守る騎士のひとりだ。 妻はアリア。同じくプロンテラのプリースト。 何度かの戦線を共にした2人は恋に落ち、結ばれた。 戦う日々はつらかったが、2人は幸せだった。 愛は人を癒し、そして人を強くする。 それゆえ戦いに身を置く2人は決して離れることなく、互いに互いを支えあった。 だが、そんな2人にも、別れは訪れた。 安息を求めるアリアと、戦い続けるレオン。 2人の夢はどこかですれ違い、別のものになっていたのだ。 プロンテラ噴水通りに冷たい風が吹くころ、2人は別れ、そして2度と会うことはなかった…。 アリアが去ってから、レオンの心にに残るのは悲しみと孤独ばかりだった。 戦う気力などすでになく、心のなかは空っぽそのもの。 毎日、いくつかの写真と遺物を見ては、ひとりで泣いた。 なんのために生きているのか、なんのために生きたらいいか分からなかった。 ただ、いたずらに過ぎてゆく毎日がイヤだった…。 レオンはほどなく剣を捨て、別の道を歩む決意をする。 国境都市アルデバランに渡ったレオンは、錬金術を学びはじめる。 アルケミスト──錬金術師と言えば聞こえはいいが、現実は薬師のようなものだ。 数種類のハーブを混ぜ合わせ、精製し、ポーションを作る。 魔物との戦いが日常茶飯事のこの世界に、傷薬であるポーションは欠かせない。 「剣をとって魔物と戦う騎士が、薬屋に格下げか。」 だが、失恋ごときで戦意を失くすような負け犬騎士には、こんな人生がお似合いかもしれない…。 レオンはいまの自分の職業に、特に不満はなかった。 自分の作ったポーションを使って、他の冒険者たちが戦ってくれる。 ひととおりの錬金術を学んだレオンは、魔法の都市ゲフェンへと旅立つ。 ゲフェンを象徴する大きなタワー、そしてそれを囲むように町が存在する。 この町で自分の商売を試してみよう。レオンは期待に胸を弾ませた。 |
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