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LEAF〜麦わら帽子のホムンクルス〜
Story-01:プロローグ

レオンは27歳。
ルーンミッドガルド王国の首都プロンテラを守る騎士のひとりだ。
妻はアリア。同じくプロンテラのプリースト。
何度かの戦線を共にした2人は恋に落ち、結ばれた。

戦う日々はつらかったが、2人は幸せだった。
愛は人を癒し、そして人を強くする。
それゆえ戦いに身を置く2人は決して離れることなく、互いに互いを支えあった。

だが、そんな2人にも、別れは訪れた。
安息を求めるアリアと、戦い続けるレオン。
2人の夢はどこかですれ違い、別のものになっていたのだ。
プロンテラ噴水通りに冷たい風が吹くころ、2人は別れ、そして2度と会うことはなかった…。



アリアが去ってから、レオンの心にに残るのは悲しみと孤独ばかりだった。
戦う気力などすでになく、心のなかは空っぽそのもの。
毎日、いくつかの写真と遺物を見ては、ひとりで泣いた。
なんのために生きているのか、なんのために生きたらいいか分からなかった。
ただ、いたずらに過ぎてゆく毎日がイヤだった…。

レオンはほどなく剣を捨て、別の道を歩む決意をする。
国境都市アルデバランに渡ったレオンは、錬金術を学びはじめる。
アルケミスト──錬金術師と言えば聞こえはいいが、現実は薬師のようなものだ。
数種類のハーブを混ぜ合わせ、精製し、ポーションを作る。
魔物との戦いが日常茶飯事のこの世界に、傷薬であるポーションは欠かせない。

「剣をとって魔物と戦う騎士が、薬屋に格下げか。」

だが、失恋ごときで戦意を失くすような負け犬騎士には、こんな人生がお似合いかもしれない…。
レオンはいまの自分の職業に、特に不満はなかった。
自分の作ったポーションを使って、他の冒険者たちが戦ってくれる。

ひととおりの錬金術を学んだレオンは、魔法の都市ゲフェンへと旅立つ。
ゲフェンを象徴する大きなタワー、そしてそれを囲むように町が存在する。
この町で自分の商売を試してみよう。レオンは期待に胸を弾ませた。



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