「はーい、注目ー!」 毎度毎度、担任のアメリア先生のテンションは高い。 教師よりも、バラエティ番組の司会でもやらせたほうが似合いそうだ。 アメリア先生は教壇に立ち、資料を配る。 生徒たちが資料をまわしている間に、黒板に大きな文字で「自由課題」と書きはじめた。 「それじゃ、みんなそろそろ基本的な魔法を覚えてきた所だと思うの。 実力を検証する意味で、今あなたたちにできることをやってもらうわ。」 「自由課題? テストとは違うんですか?」 「そうね、コンテストのようなもの、と思ってもらえればいいわ。 2人1組でチームを作ってもらって、魔法の演習を行うの。」 「禁呪でもいいんですか。」 「いいわけないでしょう!」 相変わらずお調子者のレオンさん。あんまり懲りてない…。 「2人1組かぁ…。」 「ユウ君、なにやる〜?」 「なにやろうかぁ。」 普通に聞いてくるアロエちゃん。 もはや自分が僕と組むということを、まるで疑ってない。 「召還魔法とか。」 「それは、難しいんじゃないかな…。」 「難しくないよ、私一人でもできるもん。」 「なにを召還できるんだい?」 「ユウ君。」 「それは魔法じゃなくて電話。」 召還魔法というのは魔物や精霊を現余に呼び出す技術。 何を呼ぶかによって難易度が大きく変わる。 「幸福を呼ぶ黄金竜とかは?」 「無理無理、絶対できないよ。」 「やってみないと分かんないよ。」 強気のアロエちゃん。 失敗に対するリスクとかは、考えてないんだろうか。 「天空から触手を召還して、ミランダ先生を縛ったりして…。」 前の席のマラリヤさんがぽそり。 いや、その…使っていいネタとそうでないネタがあると思うんだ。 「それじゃあ召還魔法で。 何を呼ぶかは、図書館で調べてから決めよう。」 「うん。」 コンビは僕とアロエちゃん、ラスク君とカイルさん、ルキアさんとシャロンさん、 クララさんとマラリヤさん、サンダースさんとタイガさん、セリオスさんとヤンヤンさん、 そして一人あぶれたのは…。 「センセー。」 「なにかしら。」 「13という数字は、2じゃあ割り切れませんよ。」 「そうね…どこかのペアに混ぜてもらいなさい。」 「それなら僕ひとりでやります!」 「それもいいわね。」 これでできたのが計7チーム。6ペアと、ソロ参加のレオンさん。 成績上位者には、魔法使いとしての実力を示す「魔法石」が授与される。 魔法石が一定の数に達すると、学園から魔法使いとしての階級を上げてもらえる。 僕たちはまだ修練生。 魔法使いとしては一番下のクラスで、魔法石は持っていない。 昇格を目指して、多くの生徒達の表情に気合が入った。 |
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